フィナステリドとミノキシジルは、どちらも代表的な AGA(男性型脱毛症)治療薬です。
この2つの薬は、日本皮膚科学会が公表している薄毛治療ガイドラインにおいて、クラスAの高い評価を得ています。
単体での使用はもちろん、ミノキシジルとの併用でも高い効果が得られることがわかっています。
この記事では、それぞれの成分、部位ごとの治療における向き不向きを解説するとともに、副作用や仕様上の注意点、併用で得られる効果などをまとめました。
- フィナステリドは、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑え、ヘアサイクルを整える薬
- ミノキシジルは、毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促すことで、発毛・育毛を助ける薬
- フィナステリドは抜け毛に対してアプローチを行い、ミノキシジルは発毛に対してアプローチを行うという違いがある
- フィナステリドとミノキシジルは作用が異なるため、併用して治療する場合が多い
- 悩んでいる箇所と薬の作用・効果は関係ない
- フィナステリドとミノキシジルは、オンライン診療のAGAスマクリなら初月無料、月額4980円で処方してもらえる
監修医師
成田亜希子 医師
成田亜希子医師は日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。一般内科医として幅広い疾患の診療に向き合った後、医療系行政機関にて勤務をし、病院や診療所への行政審査、行政指導、介護行政、母子保健、精神福祉等を担当。
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フィナステリドとは?
フィナステリドは、プロペシアの後発医薬品(ジェネリック医薬品)です。
プロペシアと同様の治療効果があり、AGA(男性型脱毛症)に対して毛髪サイクルを正常に戻すことで、治療効果を発揮します。
フィナステリドは体内酵素である5αリダクターゼII型の働きを阻害し、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える薬です。
ジヒドロテストステロンが生成されにくくなると、数カ月~数年で髪の発毛・育毛を妨げることのない通常の毛髪サイクルに戻ると言われています。
ミノキシジルとは?
ミノキシジルも代表的なAGA治療薬です。
ミノキシジルはもともと高血圧治療の内服薬としてアメリカで使用されていましたが、服用している患者に多毛症状が確認されたため、発毛成分を含む外用薬としての開発が進められました。
1988年に多くの臨床試験を経て、薄毛治療の医薬品として承認されたのが現在のミノキシジルです。
ミノキシジルもフィナステリドと同様、正常な毛髪サイクルに整える作用がありますが、作用についての詳細は明らかになっていません。
しかし毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促すことで、発毛・育毛を助ける薬であることがわかっています。
フィナステリドとミノキシジルの違い
フィナステリドもミノキシジルも、薄毛・脱毛の症状に対して効果があります。
しかしフィナステリドは抜け毛に対してアプローチを行い、ミノキシジルは発毛に対してアプローチを行うという点で異なります。
それぞれの特性について詳しく見ていきましょう。
フィナステリドは抜け毛を抑える
フィナステリドは主に内服薬として使用されており、脱毛症状を抑制することで、発毛のサイクルをサポートします。
AGAの原因物質は脱毛因子(TGF-β)で、5αリダクターゼII型から影響を受けることで生成されます。
この5αリダクターゼII型は、男性ホルモンの一つであるテストステロンと結びつくことで、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。
そして、ジヒドロテストステロンが、男性ホルモン受容体と結合すると、脱毛因子を増やしてしまうのです。
脱毛因子によって、毛乳母細胞の増殖が抑制されると、髪の成長期が短くなり、髪が成長する前に抜け落ち、どんどんと薄毛・脱毛の症状が広がっていきます。
フィナステリドはこのAGA症状を抑えるために、5αリダクターゼII型に作用することでジヒドロテストステロンの生成を抑制し、脱毛因子が増えるきっかけを作らないようにする薬です。
ミノキシジルは発毛を促す
ミノキシジルは主に外用薬として使用されており、薄毛・脱毛の症状が見られる患部に直接塗布して使用します。
ちなみにミノキシジルの内服薬については、副作用のリスクも含め安全性が確認されていないため、国内では承認されていません。
そのため内服薬は薬局などで購入できず、医師が診断して処方した場合のみ利用することができます。
ミノキシジルは、塗布した部分の毛包に作用する薬です。
通常毛包は2~6年かけて成長し、この間に毛が伸び、しばらくすると毛包が萎縮して休止期に入ります。
しかしAGAを発症すると、成長期も髪が成長しません。
ジヒドロテストステロンによって生じる脱毛因子が、毛包を小さくしてしまうからです。
ミノキシジルは毛包の休止期を縮めて成長期への移行を早め、さらに成長期を延ばすことで、ジヒドロテストステロンによる毛包萎縮効果を相殺し発毛を促します。
ただし薬の塗布を止めてしまうと休止期の短縮や成長期のサポートがなくなるため、ミノキシジルは継続使用が必要です。
フィナステリドとミノキシジルどちらがよい?
フィナステリドとミノキシジルは、どちらを使う方がよいのか疑問に思われるかもしれません。
より効果の高い方を使いたいですよね。
しかしフィナステリドは脱毛症状を抑える薬、ミノキシジルは発毛を促す薬で作用に違いがあります。
そのため単純にどちらがよいか比べられません。
費用面では、ミノキシジルの方がフィナステリドより安価な傾向にあります。
AGA専門クリニックでは併用を提案されるケースも多いようです。
AGA治療は継続していく必要があるため、予算と症状に応じてフィナステリドとミノキシジルどちらを使うか、あるいは併用して治療を進めるか検討していきましょう。
フィナステリドとミノキシジル、副作用の違いは?
フィナステリドとミノキシジルの副作用の違いについても気になりますよね。
フィナステリドは、AGA治療薬の中では副作用が少ない薬と言われていますが、まれに肝臓への負担が見られます。
とはいえ内服薬はどのような薬でも肝臓に負担をかけるため、フィナステリドに限ったリスクではありません。
またミノキシジルは外用薬として使う場合、体内に負担をかけるような副作用のリスクは少ないでしょう。
ただし塗布部分にかゆみやかぶれ、フケといった皮膚アレルギーを示す症状が出る可能性があるため、頭皮の異常が見られた場合は専門医に相談してください。
フィナステリドとミノキシジル、価格の違いは?
フィナステリドとミノキシジルは、価格も入手手段も異なります。
フィナステリドは、基本的に医師の診察を受け処方箋を出してもらわなければ入手できません。
加えてAGA治療は保険適用がされないため、自由診療(クリニック側が料金を決める)になります。
そのため同じ薬を処方されても料金が異なり、フィナステリドの相場は3,000~8,000円程度と言われています。
一方ミノキシジルの外用薬は、OTC医薬品ともなっているためドラッグストアや通販でも入手可能です。
ミノキシジルが何%配合されているかにもよりますが、たいてい1~5%までで、相場としては6,000円前後~となっています。
内服薬は認可されていないため、医師の診察のもと処方箋を出してもらう必要があります。
フィナステリドとミノキシジル、頭頂部と生え際、向いているのは?
同じAGAでも、薄毛・脱毛の症状が、頭皮のどこを中心に現れるかは人それぞれです。
頭頂部から薄くなっていく方もいれば、前頭部のボリュームから気になるケースもあり、フィナステリドとミノキシジルのどちらを使えばいいのかと迷ってしまうかもしれません。
フィナステリドとミノキシジルは作用が違い、薄毛・脱毛の症状を抑えるプロセスが異なります。
そのため悩んでいる箇所によってどちらが効果的か決まるわけではありません。
薄毛の箇所では判断できないため、進行度や副作用のリスクを考慮しながら医師の判断を仰いでください。
フィナステリドとミノキシジルの併用で効果が期待できる理由
フィナステリドとミノキシジルは併用可能なAGA治療薬です。
またこの2つの薬は併用するメリットもあります。
フィナステリドは5αリダクターゼII型に作用し、毛包が小さくなってしまうのを防ぎます。
ミノキシジルは毛包の休止期を短くして、成長期を早めたり、長くしたりする薬です。
この2つの薬を併用すると、フィナステリドが脱毛症状を抑え、ミノキシジルが発毛・育毛を促すという 2つの異なるアプローチを同時にできます。
また、フィナステリドは内服薬として使用し、ミノキシジルは外用薬として使用するため、副作用のリスクが掛け合わせとなる心配もありません。
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フィナステリドとミノキシジルは併用がおすすめ
AGAは早期治療と予防、そして継続が何よりも大切です。
フィナステリドとミノキシジルは、薄毛・脱毛の症状に対するアプローチの仕方が異なるため、併用により効果を高められます。
ただし併用するとその分費用がかかるため、継続での治療を前提に検討してみてください。
ある程度の発毛効果を確認できたなら、ミノキシジルの使用はストップしてフィナステリドだけ続けるという選択肢もあります。
薄毛の改善具合を見ながら医師と相談しつつ、自分に合ったAGA治療法を続けていきましょう。
参照:公益社団法人 日本皮膚科学会|日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」