AGA治療で注目されつつある注射治療ですが、クリニックの口コミだけでは、その仕組みや効果を十分に把握することは難しいかもしれません。この記事では、AGAに対する注射治療の仕組みや流れを詳しく解説し、副作用や費用についてもご紹介します。これからAGA治療を始める方や、注射治療に関心のある方が、治療法として自分に合っているかを判断する際の参考になれば幸いです。
AGAってなに?
AGAは、Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)の略称です。主に男性ホルモンや遺伝が原因となり、額の生え際や頭頂部のつむじ周辺の髪が細くなったり、抜け毛が増える進行性の脱毛症を指します。
特に成人男性に多く見られる薄毛や抜け毛の悩みの多くは、AGAによるものとされています。20代では約10%の発症率が、50代以降では約40%にまで上昇すると言われており、現在はAGAの改善を目的としたさまざまな治療法が提案されています。
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AGAの注射治療(メソセラピー)とは?
AGAの「注射治療(メソセラピー)」は、注射器で頭皮に直接薬液を注入し、発毛・育毛に必要な成分を浸透させる治療法です。投薬治療だけでは効果が十分に感じられない場合や、短期間で頭髪の変化を実感したいときに選ばれることがあります。
注射治療は比較的新しい治療法です。まずは、その仕組みと主な成分について解説していきましょう。
注射治療の仕組みは?
注射治療(メソセラピー)は、成長因子(グロースファクター)など、毛髪の成長を助ける有効成分を注射器で直接頭皮に注入する治療法です。定期的に成長因子を注入することで、発毛力が高まり、髪本来の成長力を取り戻す可能性が期待されています。
成長因子(グロースファクター)とは、動物の体内で細胞の増殖や分化を促進するタンパク質の総称です。成長因子は、毛髪の細胞や肌細胞など身体のさまざまな部分に存在し、傷の修復や毛髪の生成を助けています。しかし、成長因子は加齢とともに減少し、不足することで傷の治りが遅くなったり、髪が薄くなることがあると考えられています。
そこで、AGAの注射治療(メソセラピー)では、成長因子(グロースファクター)などの有効成分を頭皮に直接注入し、毛根周辺まで浸透させることで発毛・育毛をサポートします。
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注射治療でに含まれる主な成分
AGAの注射治療(メソセラピー)で使用される成分はクリニックによって異なりますが、一般的には、発毛や育毛に効果が期待される以下のような成分が含まれています。それぞれの成分が、どのような効果をもたらすのかを見ていきましょう。
- ミノキシジル
- 成長因子IGF-1
- 成長因子VEGF
- 成長因子bFGF
- コエンザイムQ10
- ヒアルロン酸
- 銅ペプチド
- 複合ビタミン
ミノキシジル
ミノキシジルは、血管を拡張して頭皮の血行を改善し、髪の付け根にある毛乳頭に栄養素が届きやすくなることで、発毛を促進する効果が期待できる成分です。
ミノキシジルは外用薬や服用薬としても使用され、多くの人が問題なく利用しています。しかし、もともと高血圧の治療薬として開発された成分であるため、年齢や体調によっては体質に合わないことがあります。使用する際は副作用のリスクも考慮し、必ず専門医に相談することが重要です。
成長因子IGF-1
成長因子IGF-1は、インスリンに似た構造を持つ成長因子で、「インスリン様成長因子」とも呼ばれています。毛髪の細胞分裂を活性化し、ヘアサイクルの成長期を延長することで、育毛や発毛を促進し、健康な髪を育む効果が期待されます。
成長因子VEGF
「血管内皮成長因子」とも呼ばれる成長因子VEGFは、細胞の分裂を促進し、毛細血管の生成を促すタンパク質の一種です。血管がない部分に新たに血管を生成したり、既存の血管を分岐させることで、髪の毛に栄養が届きやすくなります。
成長因子bFGF
成長因子bFGFは、もともと人体に存在する多機能性タンパク質で、「線維芽細胞成長因子」とも呼ばれます。毛乳頭細胞を活性化し、コラーゲンやエラスチン、ECM(細胞外マトリックス)の合成をサポートすることで、毛髪の成長を促す効果が期待されます。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、体内で自然に生成される成分で、細胞内でのエネルギー産生をサポートします。また、抗酸化作用により血管の酸化を予防し、細胞の再生を促す効果が期待されています。
ヒアルロン酸
化粧水やスキンケア用品に多く含まれているヒアルロン酸も、体内に自然に存在する物質で、優れた保湿効果と保水力を持っています。これにより、頭皮の余分な皮脂を抑制し、頭皮環境を整えることで発毛を促進する効果が期待されます。
銅ペプチド
銅ペプチドは、銅とアミノ酸が結合した分子で、肌の再生や修復、保護に役立ちます。また、銅ペプチドには、薄毛の原因のひとつである5α還元酵素を阻害する効果があり、脱毛の抑制が期待されます。
複合ビタミン
複合ビタミンには、アミノ酸の代謝を促進する効果が期待されます。アミノ酸は髪の成長と健康に必要なタンパク質の構成要素であり、供給を確保し、栄養素の吸収をサポートします。
注射治療の効果は?
一般的に、注射治療の効果は、治療開始から早い段階で3〜4ヶ月程度で頭皮や毛髪に変化が見られることが多いと言われています。治療期間はクリニックの方針や患者の状態によって異なりますが、一般的には1クール6〜12回の継続的な施術を2〜4週間に1回のペースで行い、6ヶ月から1年程度かけて実施します。
多くの場合、1クールの注射治療である程度の薄毛の改善を実感できるでしょう。追加の施術が必要な場合は、医師に相談することをおすすめします。
また、薄毛が気になる部位に薬液を直接注入する注射治療と、内服薬や外用薬を併用することで、より高い相乗効果を望むことができます。注射治療が内服薬や外用薬の効果を補完することもあり、投薬治療だけでは満足な効果を得られなかった場合にも、注射治療の追加を検討する価値があります。
注射治療の副作用
AGAの投薬治療には、動悸や食欲不振、身体の痒みなどの副作用が伴う可能性がありますが、注射治療では副作用のリスクはほとんどないと言われています。
メソセラピーの薬液は、薄毛が気になる部位に直接注入されるため、体全体の血液に薬液が循環することはありません。また、薬液に含まれる成分は人体に無害なものが多く、副作用や持病、体質によって投薬治療が適さない場合でも、注射治療が有効な選択肢となる可能性があります。
なお、注射治療の際に注射器の針跡に赤や紫の点状出血が見られることがありますが、これはごく稀なケースであり、通常は数日から1週間程度で自然に治癒します。
ミノキシジルの副作用は?
AGA治療薬として広く知られているミノキシジルには、副作用のリスクが存在します。内服薬と外用薬それぞれにおける代表的な副作用について具体的に説明しますので、気になる症状がある場合は、事前に専門医に相談することをおすすめします。
内服薬の副作用
ミノキシジルを服用することで、倦怠感、頭痛、動悸、むくみなどの副作用が現れる可能性があります。これらの副作用は、ミノキシジルが血流を改善する作用によって心臓のポンプ機能が活発化し、体に影響を与えるために起こります。特に心臓に持病や障害がある場合は、服用前に必ず専門医に相談しましょう。
また、ミノキシジルの発毛促進成分が全身に循環することにより、髪の毛だけでなく全身の体毛にも影響を与える可能性があります。体毛が濃くなったり、伸びやすくなった場合も、早めに専門医に相談することをおすすめします。
外用薬の副作用
ミノキシジルの外用薬を頭皮に使用する際には、かゆみや赤みといった副作用が現れることがあります。使用する際は、頭皮の状態をよく観察し、異常がないか確認することが大切です。なお、市販のミノキシジル外用薬は含有量が比較的低いため、かゆみや赤み以外の重大な副作用はあまり見られません。
AGAの注射治療のメリットは?
AGAの注射治療では、薬液を直接頭皮に注入することで、投薬治療では対応しづらい薄毛の抑制や改善に効果的にアプローチし、短期間で効果を実感しやすい点が最大のメリットです。このほかにも、以下のような複数のメリットが存在しますので、見ていきましょう。
ミノキシジルや成長因子だけなら女性でも施術可能
副作用が少ない
持病がある人でも可能
ミノキシジルや成長因子だけなら女性でも施術可能
AGA治療薬の中には、妊娠中の胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、女性の服用が禁忌とされている成分もいくつか存在します。しかし、ミノキシジルや成長因子のみを使用した注射治療であれば、女性でも投与可能であることが確認されています。
副作用が少ない
AGAの注射治療で使用されるミノキシジルなどの有効成分は、人体に無害な成分が多くを占めるため、服薬治療に比べて副作用が現れる可能性が極めて少ないことも、大きなメリットの一つです。
持病がある人でも可能
持病があり、AGAの服薬治療が制限される方でも、頭皮に直接有効成分を注入する注射治療であればAGA治療が可能です。
注射治療の費用は安い?
AGAの注射治療は効果が得られるまで継続的な治療が必要になるため、複数の施術回数を「1クール」にまとめて費用を設定しているクリニックが一般的です。注射治療「1クール」の費用相場は、6〜12回の施術で20万〜80万円程度と高額です。また、施術1回ごとに費用を設定するクリニックもありますが、1回の費用相場は約6万円と言われています。
なお、AGA治療は保険適用外の自由診療であるため、実際にかかる施術費用はクリニックごとに異なり、全額自己負担となります。
注射治療の施術の流れ
AGAの注射治療は、以下の表のような流れで行われ、施術全体にかかる時間は約15分程度です。施術時間が短く、通院回数も月1〜2回に抑えられるため、生活や仕事に支障をきたすことなく治療を進めることができます。
注射部位の選択
まずは、成長因子など毛髪の発育や成長を助ける有効成分を注入する治療部位を選択します。
注射部位を冷やす
次に、薬液を注入する際の痛みを和らげるため、保冷材などを使用して頭皮を約10秒間程度冷却します。
注射によって成長因子を注入
いよいよ、事前に選択した治療部位に医師が注射器を使用して有効成分を注入します。注入箇所や範囲によって時間は前後しますが、この手順には約10分程度かかります。
注射部位を再度冷やす
薬液を注入した後、再度注射部位を冷却し頭皮の刺激を軽減させます。施術後は頭皮の様子に注意し、入浴やサウナの使用を控えましょう。
AGAの他の治療方法は?
注射治療以外のAGA治療法は主に以下の3つに分けられます。現在のAGA治療の主流は内服薬や外用薬による投薬治療ですが、薄毛の症状や進行具合に応じて注射治療や植毛を併用することもあります。ここでは、それぞれの治療法の特徴について説明します。
内服薬(飲み薬)
内服薬とは、口から摂取するタイプの治療薬です。AGA治療の初期段階では、内服薬と外用薬を併用するケースが増えています。
内服薬には、種類によって効果、副作用、料金が異なります。薄毛の進行度や状態に応じて、単体で使用するか、複数の薬を組み合わせて使用するかを専門医が判断します。ただし、内服薬は外用薬や注射治療に比べて副作用のリスクが高く、持病や体質によっては使用が制限される場合があります。
外用薬(塗り薬)
外用薬は、頭皮に直接塗布するタイプの治療薬で、薄毛が気になる部分に特化してアプローチできます。AGA治療において主に使用される外用薬は比較的安全性が高く、特に発毛効果が期待されるミノキシジル成分を含む治療薬については、日本皮膚科学会のガイドラインでも処方が推奨されています。
植毛
植毛は、人工毛または自分の後頭部や側頭部の毛髪を薄毛が気になる部位に移植する治療法です。自毛植毛の場合、定着率が80%以上と非常に高く、移植後も髪の寿命まで成長が続くため、一度の手術で薄毛を改善できる可能性があります。ただし、手術費用は1回120万〜360万円と高額であるため、費用面での検討が必要です。
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まとめ
AGAの注射治療(メソセラピー)は、治療が必要な部位に毛髪の成長を助ける成分を含んだ薬液を直接注入する治療法です。この治療法は副作用のリスクが少なく、投薬治療と併用することで、比較的短期間でより効果的なAGA治療が期待できます。
内服薬や外用薬だけでは十分な効果が得られない場合や、植毛の手術や費用が心配な方は、専門医と相談のうえで注射治療を検討してみると良いでしょう。