さまざまな種類がある円形脱毛症のうち、脱毛斑が2〜3個以上の症状を多発性円形脱毛症といいます。
いったいなぜここまで脱毛してしまうのでしょうか?病院ではどういった治療が行われるのでしょうか?
今回はこの多発性円形脱毛症の原因・治療方法から、隠し方まで全般的に解説をしていきます。
監修医師
成田亜希子 医師
成田亜希子医師は日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。一般内科医として幅広い疾患の診療に向き合った後、医療系行政機関にて勤務をし、病院や診療所への行政審査、行政指導、介護行政、母子保健、精神福祉等を担当。
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多発性円形脱毛症とは?
突然に髪の毛が脱毛する円形脱毛症。
その症状はさまざまですが、中でも脱毛箇所が2〜3個以上の場合、「多発性(多発型)円形脱毛症」と呼ばれます。
今回は、そんな多発性円形脱毛症の原因や治療方法などを詳しく解説。
本記事が、この病気で悩んでいる方々に少しでもお役に立てたら幸いです。
多発性円形脱毛症の原因
多発性円形脱毛症をはじめ、円形脱毛症の種類は複数ありますが、症状ごとに原因が異なることはありません。
では、この円形脱毛症の原因とは何なのか。
円形脱毛症について科学的根拠のある情報をまとめた『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン』によると…
病因として様々な説が提唱されているが,近年は毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられている.疲労や感染症など肉体的・精神的ストレスを引き金に毛包由来の自己抗原をターゲットにした自己免疫反応が誘発されると想定されるが,明らかな誘因がないことも多い
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017
まだ研究段階であり明確な答えとはされていませんが、自己免疫疾患が有力と考えられているようです。
自己免疫疾患とは、体を守るために働く免疫が自分の組織や細胞を異物と誤認し、それらを攻撃することによって起こる障害・病気を指します。
円形脱毛症に当てはめると、髪を生成する細胞が異物として免疫に攻撃されて、毛が抜けたということ。
自己免疫疾患を引き起こすきっかけは、疲労やストレス、遺伝などと言われています。
今回とりあげる多発性円形脱毛症は、その自己免疫疾患によって多くの脱毛斑ができてしまったというもの。
では、多発性円形脱毛症とは具体的にどういった症状なのか。
次から説明していきます。
▼薄毛と遺伝の関係についてはこちら▼
多発性円形脱毛症の具体的な症状
ある部分の毛がまとめて抜けてしまう円形脱毛症。
特に、脱毛斑(毛がない部分)が2〜3個以上の場合、多発性円形脱毛症といわれます。
ただ、多発性円形脱毛症の中でも症状の度合いによってさらに分類されることがあり…
<多発性円形脱毛症の内訳>
- 脱毛斑が数個まで:通常型
- 脱毛斑がつながる:多発融合型・蛇行型
多発性円形脱毛症の中で、脱毛斑が数個しかないのは“通常型“と呼ばれており、自然治癒することも多いようです。
一方で、複数の脱毛が融合するのを“多発融合型“、生え際から帯状に脱毛するのは“蛇行型“と呼ばれ、これらの病型は治療に抵抗して難治と言われています。
どの状態でも一度は病院へ
円形脱毛症になった場合、AGAスマクリマガジンでは一度は病院(皮膚科・毛髪外来)で診てもらうことを推奨しております。
これは、自然治癒することが多いと言われている通常型だとしても。
病院では、専門医の診断・カウンセリングを受けて、ご自身の症状の具合を知れます。
もし自然に完治しづらいと判断された場合、患者さんに合った治療が行われていきます。
そんな病院では、多発性円形脱毛症に対して具体的にどんな治療方法が施されるのか。
次から解説していきますので参考にしてみてください。
多発性円形脱毛症の治療方法
では、多発性円形脱毛症に対してどんな治療が行われるのか?
さきほども用いた『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン』に基づいてご紹介してきます。
このガイドラインは、専門医が治療を行う上での一助となることを目的とし、さまざまな治療方法を評価したものです。
一つの注意点として、あくまでこのガイドラインは目安となるものであり、ここに載っている治療方法が必ず行われるわけではありません。
参考として見ていく上で、「多発性円形脱毛症に推奨する/行ってもよい」または「国内で診療実績が膨大」と評価されている治療方法を選出し、解説していきます。
局所免疫療法
脱毛した部分に、かぶれを起こす特殊な薬品(SADBE、DPCPなど)を塗布し、皮膚炎を繰り返し起こさせる治療方法です。
これによって、免疫反応が是正し、発毛するという信頼性の高い根拠が見出されているそうです。
ガイドライン上で唯一、多発性円形脱毛症に対して『第一選択肢として行うべき』との評価。
ただし治療を繰り返し何年も行う必要があったり、濃度や塗り方に注意が必要な治療方法です。
点滴静注ステロイドパルス療法
高濃度のステロイドを点滴し、改善を図る治療方法となります。
効果は発症が早期なほど顕著で、報告では入院を要するような重篤な副作用はほとんど無かったそうです。
小児に対しての安全性は確率しておらず、発症後6ヶ月以内の成人のみ用いてもよいと限定されています。
ステロイド内服
錠剤のステロイドを内服する治療方法。
脱毛範囲の縮小や発毛促進の十分な根拠が見出されているものの、脱毛の再発や副作用など十分な注意が必要だそう。
多発性円形脱毛症など重症の患者に対し、使用期間を限定して推奨されています。
第2世代抗ヒスタミン内服
抗アレルギー剤の薬で、一般的にはアレルギー薬として使われています。
使用により脱毛範囲が縮小するとの報告があり、さらにアトピー患者はより早期改善するとの根拠が見出されているとのこと。
研究段階のため、アトピーを持つ患者に限定し、併用療法の一つとして用いてもよいとされています。
セファランチン内服
抗アレルギー作用や、免疫機能増強作用がある薬を服用する治療方法。
多発性円形脱毛症が改善する根拠は弱いものの、国内での膨大な診療実績を考慮し、併用療法として用いてもよいと評価されています。
グリチルリチン,メチオニン,グリシン複合剤 (グリチロン®)
炎症やアレルギーを抑える作用がある薬を使う治療です。
治療結果、再発率などの詳細データがなく、現段階では有益性が十分に実証されていません。
しかし、こちらも国内で診療実績が膨大であり、併用療法に限定して用いてもよいとされています。
ステロイド外用
クリーム状のステロイドを、患部に塗布する治療方法です。
有益性は十分に実証されていないものの、多発性円形脱毛症を始めとした円形脱毛症に対して、多くの皮膚科で採用されている、一般的な治療方法です。
塩化カルプロニウム外用
フロジン液・アロビックス液といった名前で呼ばれる、毛膿に作用し発毛を促進する薬品を用います。
ステロイド外用と同様に、実証は不十分ですが、病院でよく用いられる治療方法として評価されています。
そのほか治療方法
ガイドライン上で「行うべき/行っても良い」、もしくは「国内での診療実績が豊富」な治療方法と記載しているものを解説してきました。
これらの他にも、多発性円形脱毛症に対して『ミノキシジル外用』『冷却療法』『直線偏光近赤外線照射療法』などを行う場合はあります。
実際は患者さんと直接相談しあって治療方法を決めていくからです。
多発性円形脱毛症の隠し方
病院でよく行われる多発性円形脱毛症に対する治療方法を解説してきました。
さて、多発性円形脱毛症は、通常型は自然治癒する場合があり、多発融合型・蛇行型は難治と言われていました。
自然治癒と治療、どちらにせよ完治までは相当な期間を要すると考えられます。
そこで悩むのは、完治するまで「どうやって上手く隠していくか」ですよね。
次は、多発性円形脱毛症の隠し方についてご紹介していきます。
①髪型で隠す
脱毛斑が少ない方(通常型の多発性円形脱毛症)は、髪型で隠すのがおすすめです。
脱毛斑を周りの髪の毛で覆うようにして隠していきましょう。
ドライヤーやヘアワックスを利用してセットしていくのがコツです。
②増毛スプレー/パウダーで隠す
増毛パウダーやスプレーは、頭に繊維を付着させ、視覚的に髪が生えてるように見せる商品です。
1本1,000〜3,000円ほどで購入でき、隠したい部分に吹きかける(ふりかける)だけと手軽。
最近では、かなり近づかないと偽の髪と分からない、自然な見た目の物が出回っています。
多発性円形脱毛症の場合、脱毛範囲がそこまで大きくなければ、上手く隠すことが可能でしょう。
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③帽子で隠す
多発性円形脱毛症が通常型でも、多発融合型・蛇行型でも、帽子なら自然に隠すことができます。
誰にとっても取っ掛かり易い隠し方ですね。
ただ、室内でもずっと帽子を被っているわけにはいきませんので、外出時に限定されてしまいます。
基本的には他の隠し方を行い、外出時にサッと隠したい時だけ帽子と使い分けたら良いかと思います。
④かつらで隠す
ある程度お金がかかってしまうことを除けば、かつら(ウィッグ)は多発性円形脱毛症を隠すのにとても良い手段です。
現在は技術が進歩し、自然な見た目で、外れにくい、「バレないかつら」が多数販売されています。
頭全体を覆うことができる全頭かつらと、部分的に隠すための部分かつらがあるので、ご自身の状態を見てどちらが良いか選びましょう。
実は、かつらの使用は『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン』でも以下のように推奨されています。
かつらの有益性は,現段階では十分に実証されていない.しかし,QOL を改善する手段として議論の余地はないことを考慮し, (中略) 併用療法の一つとして推奨する
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017
述べられているように、かつらを着けることで他人の目を気にすることなく生活でき、QOL(生活の質)が向上するのでおすすめの隠し方です。
以上が多発性円形脱毛症を隠す方法でした。
改善するまでに長期間必要なこともある症状だけに、上手く隠しながら自然治癒や治療に専念していただけたらと思います。
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まとめ
多発性円形脱毛症の原因と治療方法、そして隠し方まで全般的に解説をしてきました。
いつの間にか発症し、いつ治るのか不明な病気なだけに、不安でいっぱいな方が多くいらっしゃると思います。
今回の記事が、多発性円形脱毛症で悩む皆さんに少しでもお役に立てたのなら幸いです。
がっつりハゲ・薄毛治療がしたいという方は…
ここまで読んだけど、自分はもう手遅れだ、症状が進行しすぎているという人は勇気を出してクリニックでしっかりとした知識のある医師に相談してみるのはいかがでしょう。
医師から最適な対処法を教えてもらえれば、迷わずに安心して行動に移すことができます。
自分だけで見て諦めていても、医師に相談してみたらまだやりようがあった、ということもあるかもしれません。
ここまで読んだけど、他に手段は、という方は、クリニックで医師に相談してみましょう。