AGA（男性型脱毛症）の治療を検討している方にとって、治療薬の効果と同様に気になるのが副作用ではないでしょうか。AGA治療薬は、医師の診察を受け、必要と判断された場合に処方されます。医師が処方する薬であれば、副作用が生じた際にも適切な対処が可能です。
この記事では、AGA治療薬の副作用の可能性や使用上の注意点を詳しく解説します。副作用のリスクを理解して、安心して治療を進めていきましょう。
AGA治療の副作用を治療薬ごとに解説！
AGA治療薬の中でも、処方される機会が多い「プロペシア」「ザガーロ」「ミノキシジル」「アボルブ」。これらの治療薬は、厳格な臨床試験を経て安全性が確認されていますが、発生率は比較的低いものの、さまざまな副作用が報告されているのも事実です。それでは、各治療薬の副作用や使用上の注意点について、詳しく見ていきましょう。
プロペシアの副作用と注意点
プロペシアは、国内で初めてAGA治療薬として販売されたため、知名度が高く、AGA治療薬の定番ともいえる薬です。主成分である「フィナステリド」は、AGAの原因であるジヒドロテストステロン（DHT）の合成を抑制し、毛髪の成長を促進します。ここからは、プロペシアの副作用と使用上の注意点について詳しく解説します。
プロペシアの副作用
プロペシアの副作用の発生率は1％未満であり、比較的低いと言えます。主な副作用として、以下の症状が報告されています。
重大な副作用
肝機能障害（1%未満）
その他の副作用
リビドー減退（1～5%未満）
勃起機能不全・射精障害・精液量減少（1%未満）
フィナステリドは肝臓で代謝されるため、倦怠感や黄疸などの症状が現れる可能性があります。また、性欲や性的興味の低下、勃起不全といった副作用が見られることがありますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。
その他、発生頻度が不明の副作用として、かゆみや湿疹などの皮膚異常、うつ症状が報告されています。フィナステリドによるホルモンバランスの変化が、うつ症状や気分の変調を引き起こす可能性があります。
プロペシアの副作用は？
プロペシアの使用上の注意点
プロペシアの安全性は未成年には確認されていないため、成人男性のみが使用可能です。治療効果を実感するためには、最低でも6ヶ月以上の継続的な服用が必要です。服用開始後は、毎年1回以上の血液検査を受けることが推奨されます。また、プロペシアの主成分であるフィナステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能に問題がある人は、服用を続けることで肝機能障害が発生する可能性があります。処方を受ける際には、必ず医師に相談しましょう。
さらに、プロペシアの成分は皮膚からも吸収されるため、妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は錠剤に触れないよう注意が必要です。特に男児を妊娠中の女性は、生殖器官の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるため、特別な注意が求められます。また、服用中は献血を控えてください。
ザガーロの副作用と注意点
ザガーロは、AGAの改善に高い効果を発揮する治療薬です。主成分であるデュタステリドは、男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン （DHT）に変換されるのを抑制します。半減期（血中の有効成分濃度が半分になるまでの時間）がプロペシアよりも長いため、血中に留まる期間が長く、DHT抑制効果が持続します。ここからは、ザガーロの副作用と使用上の注意点について詳しく解説します。
ザガーロの副作用
ザガーロの副作用もプロペシアと同様の症状が報告されていますが、効果持続時間が長いザガーロの方が副作用の発生割合も少し上がります。
重大な副作用
肝機能障害・黄疸（いずれも頻度不明）
その他の副作用
性機能不全／リビドー減退・勃起不全・射精障害（1%以上）
発疹（1%未満）
頭痛・抗うつ気分（1%未満）
乳房障害（1%未満）
腹部不快感（1%未満）
重大な副作用として、肝機能障害や黄疸が現れることがあります。また、性機能不全もプロペシア同様、ザガーロの代表的な副作用として多く報告されています。ザガーロに含まれる成分が男性ホルモンの一部を抑制するため、性欲減退や勃起不全などの副作用が発生する可能性があります。さらに、発生頻度が不明な副作用として、アレルギー反応やめまい、腹痛、下痢などの症状も報告されています。
ザガーロの使用上の注意点
ザガーロの使用上の注意点はプロペシアと同様です。肝機能に問題がある人は医師と相談のうえ、処方を受けるようにしましょう。また、未成年や女性は使用できないほか、妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は錠剤に触れないように気を付けてください。
ミノキシジルの副作用と注意点
ミノキシジルは、AGA治療の代表的な薬で内服薬と外用薬があります。外用薬は頭皮に塗布することで血流を改善し、発毛や髪の成長を促進します。もともとは高血圧治療薬として開発されましたが、1980年代に脱毛症への効果が発見され、AGA治療に使用されるようになりました。プロペシアやザガーロとは異なる効果が期待できるため、それらとの併用も可能です。ここからは、ミノキシジルの副作用と使用上の注意点について詳しく解説します。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルの副作用は、外用薬と内服薬で異なります。外用薬は皮膚に直接塗布するため、主に塗布部分に副作用が現れることが多く、内服薬は体内から作用するため、全身的な副作用が現れる可能性があります。
外用薬の副作用
頭皮の発疹、かゆみ、かぶれ
使用部位の熱感
頭痛・めまい
体重増加・むくみ
これらの発生率は5％濃度のミノキシジルで6％、2％濃度では2％です。指定された用量以上の使用は治療効果を上げないうえに、副作用のリスクを高める可能性があるので注意が必要です。
内服薬の副作用
血圧低下や心拍数の増加
初期脱毛
動悸・息切れ
むくみ・ほてり
これらの副作用が報告されていますが、いずれも発生頻度は不明です。
ミノキシジルの副作用は？
ミノキシジルの使用上の注意点
ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬として開発されたので、血圧を下げる作用があります。低血圧の方は、不整脈などの循環器系の障害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。循環器系に問題がある方は、必ず医師に相談してください。また、肌が弱い方やアレルギー反応を起こしたことがある方も、使用時に注意が必要です。妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性に対する安全性が確立されていないため、使用は避けてください。
アボルブの副作用と注意点
アボルブは、ザガーロと同じデュタステリドを有効成分とする薬です。もともとは前立腺肥大の治療薬として使用されていましたが、脱毛症への効果が発見され、AGA治療薬として再開発されました。主成分が同じため、ザガーロと副作用や注意点も類似しています。ここからは、アボルブの副作用と使用上の注意点について詳しく解説します。
アボルブの副作用
アボルブの副作用はザガーロと同様の症状が報告されています。
重大な副作用
肝機能障害（1.5%）、黄疸（頻度不明）
その他の副作用
リビドー減退（1%以上）
勃起不全、乳房障害（1%以上）
蕁麻疹（1%未満）
浮動性めまい（1%未満）
射精障害（1%未満）
腹部不快感（1%未満）
倦怠感（1%未満）
重大な副作用として、肝機能障害や黄疸が現れることがあります。さらに、発生頻度が不明な副作用として、アレルギー反応や発疹、抗うつ気分、精巣痛、下痢などの症状も報告されています。
アボルブの使用上の注意点
アボルブを服用する場合は、作用が重複するためプロペシアを服用できません。その他の使用上の注意点はザガーロと同様です。肝機能に問題がある人は医師と相談のうえ、処方を受けるようにしましょう。また、未成年や女性は使用できないほか、妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は錠剤に触れないように気を付けてください。
AGA治療の主な副作用まとめ
AGA治療に用いる薬には育毛効果が期待できる一方で、副作用が伴う可能性があります。主な副作用として、性欲減退や勃起不全などの男性機能の低下、皮脂トラブル、肝機能障害、顔面や腕、脚などの体毛が濃くなる多毛症が挙げられます。同じ治療薬でも、服用する人の健康状態によって効果や副作用が異なることがあります。持病がある方は、薬の飲み合わせを必ず医師に確認しましょう。
AGA治療薬で副作用が出た時はどうする？
副作用はどの薬にもあるため、過度に心配する必要はありませんが、万が一AGA治療薬の服用中に副作用と思われる症状が出た場合、どのように対応すべきでしょうか。副作用が発生した際の対応として、以下の3つのポイントを覚えておきましょう。
専門医に相談
副作用と思われる症状が現れた場合は、まず処方した医師に相談しましょう。自己判断で服用を中止したり、別の薬を追加したり、薬の量を調整することは避けてください。副作用の症状が悪化する可能性があるため、医師に相談した上で対応することが重要です。
治療薬の変更
副作用が現れた場合、別の治療薬に変更するのも一つの方法です。AGA治療には複数の薬の選択肢があるため、医師に相談のうえ、成分が異なる別の治療薬に変更することを検討してもよいでしょう。たとえば、外用薬と内服薬の両方を使用している場合は、どちらか一方に切り替える方法もあります。体質によって治療薬との相性は異なるため、副作用が出ない処方を医師と相談しながら見つけることが大切です。
治療薬の摂取量を減らす
副作用が出た場合は、医師に相談のうえ、薬の量を減らして経過を観察する方法もあります。服用を中止するとAGAが進行する恐れがあるため、適切な加減が重要です。体調をよく観察しながら、自分に合った薬の量を医師と相談して見つけていきましょう。
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まとめ
AGA治療薬には、薄毛や抜け毛の改善効果が期待できる一方で、肝機能障害などの副作用リスクも伴います。治療を始める際は、持病の有無にかかわらず、自分の体調やリスクを十分に理解し、医師と相談しながら適切な治療を進めることが重要です。
副作用が現れた場合は、早めに医師に相談し、最適な治療方法を見つけることが、後悔を避けるためにも大切です。治療薬ごとのメリットとデメリットを理解し、自分に合った治療法を見つけましょう。
