AGA(男性型脱毛症)の治療薬の有効成分としてよく知られているフィナステリドとデュタステリド。どちらも効果が期待できる代表的な薬剤です。では、どちらの薬がより高い効果を実感できるのでしょうか?
薬は、その人の症状や体質によってベストな選択が変わります。自身が使用する薬について詳しく知っておくことはとても大切です。
この記事では、フィナステリドとデュタステリドについて、その効果や副作用をご紹介します。AGA治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
フィナステリド、デュタステリドって何?
フィナステリドとデュタステリドは、どちらもAGA(男性型脱毛症)の治療薬に使われている有効成分です。AGA専門クリニックで処方される「プロペシア」や「ザガーロ」などの治療薬には、これらの成分が配合されています。
以下は、それぞれが配合された代表的な薬品名です。
有効成分 |
成分が配合された代表的な治療薬 |
作用 |
フィナステリド |
プロペシア、フィナステリド錠 |
主にⅡ型の5α-リダクターゼに作用 |
デュタステリド |
ザガーロ、デュタステリドカプセル0.5mgZA |
Ⅰ型・Ⅱ型両方の5α-リダクターゼに作用 |
5αリダクターゼの働きを阻害する薬
男性ホルモンのテストステロンは、5αリダクターゼという酵素の作用でジヒドロテストステロンに変換されます。このジヒドロテストステロンが毛母細胞の働きを低下させ、AGAを引き起こします。
5αリダクターゼにはI型とII型があり、I型は全身の毛乳頭細胞や皮脂腺にあり、頭部では特に側頭部や後頭部に多く分布しています。対してII型は、主に毛包や前立腺に多く存在し、頭皮では特に前頭部や頭頂部に多く分布しています。
フィナステリドとデュタステリドは、この5αリダクターゼの働きを阻害することで、AGAの原因分子であるジヒドロテストステロンの生成を抑えます。
フィナステリドとは
フィナステリドは、1992年に前立腺肥大症の治療薬の成分として開発されました。その後、患者からAGA改善が多く報告されたことからAGA治療薬としての研究も進み、1997にはAGA治療薬としてアメリカで承認を受けました。世界で初めてAGA治療薬として承認された「プロペシア」に配合されているのがフィナステリドです。日本では、2005年12月に「プロペシア」の販売がスタートし、長くAGA治療薬として使用されています。現在は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の「フィナステリド錠」も販売されています。
デュタステリドとは
デュタステリドもフィナステリド同様、前立腺肥大症の治療薬として開発されました。日本で「プロペシア」が発売されてから10年後の2015年、デュタステリドを配合した「ザガーロ」が厚生労働省の承認を得て、日本で販売をスタートしました。現在では、いくつかの製薬会社から、デュタステリドを有効成分とするジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。
作用の型の違い
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも5αリダクターゼの働きを阻害することでAGAの進行を防ぎますが、効果に違いがあります。
フィナステリドは、生え際や前頭部、頭頂部に多く分布しているⅡ型5αリダクターゼの働きを抑制し、抜け毛を予防します。対してデュタステリドは、II型に加え、側頭部や後頭部に多く存在するI型の5αリダクターゼの働きも抑制します。
効果が高いのはデュタステリド
フィナステリドがⅡ型5α-リダクターゼのみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型およびⅡ型の両方の5α-リダクターゼの働きを抑制します。そのため、より広範囲にわたり効果を発揮することができます。
さらに、デュタステリドは、フィナステリドと比較して5α-リダクターゼを強力に阻害することがわかっており、発毛効果も高いとされています。
【副作用】フィナステリド、デュタステリドの違い
フィナステリドとデュタステリドは、ジヒドロテストステロンの生成を抑制するため、体内のホルモンバランスに変化が生じ、副作用が現れることがあります。
なお、フィナステリドとデュタステリドの併用は、副作用が強く出る可能性があるため原則禁止です。
では、具体的にどのような副作用が現れる可能性があるのでしょうか。フィナステリドとデュタステリド、それぞれの副作用について説明します。
フィナステリドの副作用
性機能障害
フィナステリドが配合されている代表的なAGA治療薬「プロペシア」に関して、医薬品医療機器総合機構が実施した8年間の再審査(*1)の結果、性的欲求の減退が約0.2%(943例中2例)、勃起不全が約0.1%(943例中1例)確認されています。はっきりとしたメカニズムは分かっていませんが、フィナステリドは男性ホルモンに影響を与える成分であるため、体内のホルモンバランスに変化が生じ、副作用が現れる可能性が考えられます。
また、フィナステリドの服用者が軽度の血精液症を発症したという報告があります。必ずしもフィナステリドが原因とは限りませんが、フィナステリドが前立腺の血管に影響を与えた可能性が指摘されています。血精液症の症状があった場合には、速やかに専門医に相談しましょう
(*1)=新薬の承認から一定期間後に行われる安全性と有効性の確認
アレルギー反応や過敏症
薬の主な効果とは別に、薬に対してアレルギー反応が起きることがあります。薬物アレルギーには、かゆみや蕁麻疹などの軽度なものから、嘔吐、血圧低下、呼吸困難などを伴う重篤な症状までさまざまです。ただし、国内ではフィナステリドによる重篤なアレルギー症状は確認されていません。
尚、過去にフィナステリドに含まれる成分に過敏症を発症したことがある人は、フィナステリドを使用することはできません。
症状の重さにかかわらず、何らかのアレルギー症状が現れた場合は、薬の服用を中断し、かかりつけの医師に相談しましょう。
肝機能障害
医薬品医療機器総合機構が実施した再審査(*1)の結果、「プロペシア」の副作用と思われる肝機能障害が確認されたのは約0.2%(943例中2例)でした。
多くの薬は肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかります。特に、AGA治療薬は長期の投与が必要になることが多く、まれに肝機能障害が発生する可能性があります。安全にAGA治療を続けるためには、定期的な血液検査による健康管理が重要です。
(*1)=新薬の承認から一定期間後に行われる安全性と有効性の確認
抑うつ
男性は、男性ホルモンの低下によって、うつ病を発症するリスクが高まるといわれています。フィナステリドは男性ホルモンに作用するため、服用によってホルモンバランスが変化し、うつ症状が現れる可能性があるといわれています。一部の研究では、特に45歳以下の若年層に精神的な副作用が多く現れる傾向が示唆されています。
また、うつ症状が現れる原因は、他にも頭髪に関する悩み、長期にわたる治療への不安やストレスなども関係している可能性があります。
現在、「プロペシア」や、その他フィナステリドを配合したジェネリック医薬品の『使用上の注意』が改訂され、自殺念慮に関する注意事項が追記されています。不安やストレス、うつ症状を感じた場合は、速やかにかかりつけの医師に相談してください。
デュタステリドの副作用
性機能障害
デュタステリドが配合されいている代表的なAGA治療薬「ザガーロカプセル」の国際共同試験(*2)では、勃起不全が4.3%(557例中24例)、性的欲求の減退が3.9%(557例中22例)、精液量減少が1.3%(557例中7例)確認されています。その他、精子数や精子運動率の減少もみられます。ただし、いずれもいずれも重篤な症状がでる可能性は極めて低いといえます。
(*2)=新薬の開発・承認を目的として、複数の国や地域で同時に行われる臨床試験
肝機能障害
デュタステリドが配合されいている代表的なAGA治療薬「ザガーロ」の添付文書には、重大な副作用として、『AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある』と記載されています。「プロペシア」同様、定期的な血液検査による健康管理を心掛けましょう
乳房障害
デュタステリドの副作用として、女性化乳房や乳房痛などが0.2%程度確認されています。
胃腸障害
ごくわずかですが、デュタステリドの副作用として、腹痛や腹部の膨満感といった胃腸障害の症状が報告されています。
副作用の違いは
それぞれの副作用の説明からわかるように、デュタステリドは、フィナステリドと比較して性機能に関する副作用が多く報告されています。ただし、精子濃度や精子形態への影響は確認されていません。
男性不妊が疑われる場合は、妊娠確率が下がる可能性がありますので、妊娠を希望している場合は服用を控えることをおすすめします。
フィナステリドとデュタステリドは半減期に違いがある
フィナステリドとデュタステリドは、半減期が異なります。半減期とは、有効成分の血中濃度が半分になるまでの時間のことであり、効果の持続期間にも影響します。フィナステリドの半減期が6時間〜8時間、デュタステリドの半減期が3週間〜5週間であり、デュタステリドの方が長く作用していることがわかります。
「同じ薬を長期にわたり服用すると、耐性がついて効果が半減するので、交互に服用すると良い」といった意見を耳にすることがありますが、これらの薬は半減期が違うことから、交互で服用することはお勧めできません。また、長期の使用で耐性がつくことはありませんので、医師の指示に従って正しく服用してください。
フィナステリドとデュタステリドに関するよくある質問
デュタステリドとフィナステリドどっちがいいですか?
デュタステリドの方が5α-リダクターゼを阻害する作用が強く、進行したAGAにより効果が期待できます。ただし、体質などによっては、フィナステリドの方が効果が出やすい場合もあります。また、症状の進行状況や、患者が希望する治療部位によっては、副作用や費用を考慮してフィナステリドの処方が適している場合もあります。
デュタステリドは精液を減少させますか?
デュタステリドとフィナステリドは、どちらも副作用として精液量の減少が報告されています。副作用の程度には個人差がありますが、受胎率に大きな影響を与える程ではないとされています。
フィナステリドからデュタステリドに切り替えたら初期脱毛は?
初期脱毛とは、AGA治療をスタートした際、ヘアサイクルの正常化に向け、それまで生えていた毛髪が一時的に抜ける症状のことです。フィナステリドからデュタステリドに切り替える時も、同じ理由で初期脱毛が起こる可能性があります。ただし、別の理由による脱毛の可能性もありますので、不安を感じる場合は医師に相談しましょう。
フィナステリドには発がん性がありますか?
前立腺治療で処方される「プロスカー」(フィナステリドを5mg配合)の服用で、高悪性度の前立腺がんの発症が増える可能性が指摘されていますが、現時点では科学的に証明されていません。また、AGA治療薬に含まれるフィナステリドは1mg〜1.3mgと少量であり、発がん性は確認されていません。
ただし、フィナステリドやデュタステリドを服用していると、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値が半分程度に低下するため、前立腺がんの発見が遅れる可能性があります。検査を受ける際は、必ずAGA治療薬を服用していることを担当医に伝えましょう。
AGAの治療は”AGAスマクリ”
AGA治療は長期にわたることが多く、定期的に通院するのは難しいと、治療を躊躇されている方も多いのではないでしょうか。
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まとめ
AGAは、投薬治療によって症状が改善する可能性があります。しかし、薬の長期使用には副作用のリスクが伴います。個人輸入による薬の使用や、自己判断での薬の増減・中止は、効果の低下や重篤な健康被害を引き起こす恐れがあります。
薬の効果や副作用を十分に理解し、専門医の指導のもと、健康的かつ効果的にAGA治療に取り組みましょう。