ミノキシジルとは、AGA治療で使用される医薬品の一つです。AGAの治療効果が認められていますが、副作用もあるので注意が必要です。この記事ではミノキシジルの効果と副作用をわかりやすくまとめました。疑問を解決してAGA治療への利用を検討しましょう。
また、AGA治療で用いられるミノキシジルには内服薬と外用薬があります。内服薬と外用薬では性質や使用方法に違いがあるので、使い分けられるようにそれぞれの特徴をご説明します。
ミノキシジルとは
ミノキシジルとは、壮年性脱毛症に効果がある医薬品成分です。Upjohn社(現Johnson&Johnson社)によって、高血圧の治療薬として発見されました。ミノキシジルは血管拡張作用によって血圧を下げる効果があります。臨床試験で副作用として多毛症の頻度が高かったことから、発毛を促す成分として再開発が進められて利用されています。
ミノキシジルとフィナステリドの違い
ミノキシジルと同様にAGA治療で使用されている医薬品成分としてフィナステリドがあります。
フィナステリドは5αレダクターゼの機能を阻害する作用を持っている成分です。5αレダクターゼによって男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。DHTはAGAによる脱毛や薄毛が促進される原因になります。
DHTが過剰に生成されると、髪が正常に発毛して成長するヘアサイクルが乱れることがAGAを引き起こす原因です。フィナステリドは5αレダクターゼの機能を阻害して、DHTによるヘアサイクルの乱れを抑制する効果があるのでAGAの進行を抑える役割を果たします。
ミノキシジルにはAGAの発症メカニズムにかかわる作用はありません。しかし、ミノキシジルはフィナステリドとは違い、発毛を促進する効果があります。ミノキシジルとフィナステリドは作用メカニズムが異なるため、併用して治療をすることもあります。
ミノキシジルの効果は主に2つ
ミノキシジルの効果は発毛効果と、育毛・脱毛抑制効果があります。ミノキシジルは血管拡張作用だけではなく、AGAの治療につながる働きがあります。ここではミノキシジルの効果をわかりやすく紹介します。
①発毛効果
ミノキシジルには発毛効果があります。インスリン用成長因子(IGF-1)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を産生させて、発毛を促進する作用があるからです。IGF-1やVEGFは発毛に必要な毛母細胞を刺激する作用があります。毛が生えるには頭皮にある毛母細胞が増殖して髪の毛を成長させることが必要です。ミノキシジルを使用すると毛母細胞から毛が生えるプロセスが進みやすくなるため、薄毛や抜け毛の悩みに対策できます。
②育毛・脱毛抑制効果
ミノキシジルは育毛効果と脱毛抑制効果があります。育毛は髪の毛を成長させること、脱毛は髪の毛が抜けることです。ミノキシジルは髪の毛が成長する基盤として働いている毛母細胞のアポトーシスを抑制する効果がある成分です。アポトーシスとはプログラム細胞死とも呼ばれていて、細胞を殺して分解する働きを指します。毛母細胞のアポトーシスを抑制すれば髪が成長しやすくなるため、育毛を促進して脱毛を抑えることができます。
ミノキシジルの効果が出るまでの期間は約半年
ミノキシジルを使用して効果を実感するまでにかかる期間は約半年です。髪の成長にはヘアサイクルが影響するため、すぐに効果があるわけではありません。早ければ3ヶ月程度で実感を得られる場合もありますが、6ヶ月程度は投与を続けることが重要です。
ミノキシジルの副作用は主に8種類
ミノキシジルによるAGA治療では副作用が悩みになる場合があります。ミノキシジルの副作用として頻度が高いものをまとめると以下の通りです。
- 初期脱毛
- 皮膚炎
- 動悸・息切れ
- 頭痛や目眩
- 手足・顔のむくみ
- 多毛症
- 肝機能障害
- 心疾患
ミノキシジルの副作用は誰もが経験するものではありません。副作用は個人差が大きいので、ミノキシジルでAGA治療をするときには経過観察が必要です。ここではミノキシジルの主な副作用について詳細を解説します。ミノキシジルでAGA治療をしているときに、気になる症状があったときには医師に相談して治療継続の可否を検討しましょう。
初期脱毛
初期脱毛はミノキシジルで治療を始めてから2週間~8週間の初期に見られる脱毛です。ミノキシジルによってヘアサイクルに働きかけることで、休止期から成長期に動くようになって髪の毛が成長し始めます。新しい髪の毛によって古い髪の毛が根本から押しのけられるので脱毛が起こります。ヘアサイクルが動き出したことを示しているので、良い兆候と捉えられる現象です。
初期脱毛はミノキシジルによるAGA治療だけでなく、他の方法でも頻度が高い副作用です。AGA治療では起こる可能性が高いと考えて、初期脱毛の時期を乗り越えましょう。初期脱毛で不安になったときには医師に相談して、状況を説明してもらうのがおすすめです。
皮膚炎
AGA治療のときには皮膚炎のリスクがあります。肌がかゆい(搔痒感)、赤くなっている(発赤)、皮膚が剥がれ落ちる(落屑)といった症状が典型的です。毛包炎や接触性皮膚炎も起こる場合があります。皮膚炎が発生したときには、肌に薬が合っていない可能性があるので、速やかに医師に相談しましょう。皮膚炎はAGA治療で外用薬を使用しているときに起こりやすいため、治療を始めた後は頭皮の状態に気を付けましょう。
動悸・息切れ
ミノキシジルの内服薬でAGA治療をしていると、動悸・息切れの副作用の症状が出る場合があります。動悸は心拍が気になって不快感がある状況です。息切れは呼吸をするのに力が必要になったり、呼吸が苦しいと感じたりする症状を指します。動悸・息切れはミノキシジルの血管拡張作用が原因の可能性があります。もともと低血圧の人や高血圧治療で降圧剤を服用している人、循環器疾患を持っている人は注意が必要な副作用です。
頭痛や目眩
頭痛や目眩はミノキシジルの服用によって血管が拡張されることにより生じる可能性がある副作用です。ミノキシジルによって毛細血管が拡張されると、血管抵抗が低くなって目眩が起こるリスクがあります。脳血管などの頭部の血管の拡張が刺激になって頭痛を引き起こすこともあるので、症状があったときには医師に相談しましょう。
手足・顔のむくみ
ミノキシジルの服用を始めると、手足や顔がむくんで気になる場合があります。ミノキシジルは抹消で血管を拡張させる作用があるからです。血管が拡張されて太くなると、血液量が増えるのでむくんでしまいます。また、抹消血管の拡張によって中枢での血液が不足し、造血が促進されることで血液量が増えてむくみが生じる場合もあります。心不全などの心疾患を患っている場合には、持病を悪化させる可能性があるので医師に相談することが必要です。
多毛症
多毛症は全身の毛が成長してしまう症状です。ミノキシジル自体が多毛症の副作用によってAGAや薄毛の治療への応用が見出された経緯もあり、服用していると全身の毛が増えることがあります。多毛症の副作用が出た場合には、ミノキシジルの効果が出ている証拠です。ただ、体毛が太く濃くなってしまって悩みになる場合もあります。多毛症の症状が気になったときには医師に事情を伝えて、ミノキシジルの減量や他の治療方法の相談をしましょう。
肝機能障害
肝機能障害は肝臓に負担がかかって機能が低下している状況で、血液検査によってAST、ALT、γ-GTPの数値が高いことで発見されるのが一般的です。ミノキシジルは肝臓で代謝されて体外に排泄されるため、服用していると肝臓での代謝に負荷がかかります。肝機能障害が起こっても初期には自覚症状がなく、進行すると黄疸や疲労感などが認められるようになります。肝不全や肝硬変などのリスクがあるため、血液検査で肝機能の定期的な確認をすることが大切です。
心疾患
ミノキシジルには心疾患の副作用のリスクがあります。ミノキシジルは血管拡張作用があるため、心臓にも影響を与える可能性があります。心疾患として狭心症が起こる場合があるので、症状を感じたときには医師に相談しましょう。狭心症は冠動脈の狭窄や血流の低下によって起こる可能性があります。冠動脈は心臓を拍動させる心筋に血液を供給している血管です。狭心症になると胸が痛い、息苦しいといった自覚症状が発生します。
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ミノキシジルの内服薬と外用薬
AGA治療で使用されるミノキシジルには内服薬と外用薬があります。内服薬と外用薬では使用方法にも効果にも違いがあるので注意が必要です。ここではミノキシジルの内服薬と外用薬の特徴と使用方法を紹介します。
ミノキシジル配合内服薬・使用方法
ミノキシジル配合内服薬はミノキシジルタブレットが代表的な薬で、飲むことで効果治療をします。内服薬を飲むと消化管を通して吸収されて、血液を介して全身にミノキシジルが広がります。頭皮に届いたミノキシジルが毛根に作用して発毛を促すというのが基本原理です。頭皮以外でも発毛が起こるリスクが高いですが、効果は発揮されやすい傾向があります。
ミノキシジルを内服するときには、医師からの指示を受けて服用します。用量・用法を守って毎日内服して改善を目指します。服用するタイミングは一定にすることが大切ですが、服用する時刻が定められているわけではありません。医師と相談して、忘れずに飲み続けられるタイミングを決めて服用しましょう。
ミノキシジル配合外用薬・使用方法
ミノキシジル配合外用薬は頭皮に塗布することでミノキシジルを作用させるのが特徴です。皮膚を通してミノキシジルが肌に浸透し、毛根に作用して発毛を促進させます。ミノキシジルの外用薬は局所で作用するため、全身作用が比較的小さいのが特徴です。ミノキシジル外用薬は日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている治療方法です。
ミノキシジルを外用で適用するときには、医師による指示を受けて用量・用法を守って使用します。一般的には脱毛が気になっている部分に対して、1日2回、外用薬を塗布して治療を進めます。ミノキシジルの外用薬は状態に合わせて、適切な使い方をすることが大切です。
市販品にもミノキシジル配合外用薬があります。ただし、ミノキシジルの配合量が5%以下なので効果の実感が得られない場合もあります。市販品で実感がなかったときにはクリニックを受診して相談しましょう。
参照:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
ミノキシジル服用についての注意点
ミノキシジルを服用すればAGAなどによる薄毛の治療が可能です。しかし、ミノキシジルには副作用のリスクもあるため、クリニックでも慎重に経過観察をしながら投与量や投与方法を調整しています。AGA治療ではミノキシジルだけでなく、フィナステリドやデュタステリドを併用した方が効果を得られる場合もあります。ミノキシジルを服用する際には医師と相談しながら治療を進めることが大切です。
関連記事:ミノキシジルは前髪に効果がある?副作用や併用についても解説
ミノキシジルの個人輸入は大変危険
ミノキシジルは個人輸入で海外から入手できますが、ミノキシジルの個人輸入は危険性が高いので、クリニックを受診して治療を進めることをおすすめします。ミノキシジルを個人輸入すると、好きな量を比較的安価に購入できます。オンラインショッピングのようにして手配できるため、誰にも知られずにミノキシジルを手に入れることが可能です。
ただ、個人輸入されたものは日本の医薬品医療機器等法によって有効性や安全性が認められているとは限りません。副作用が起こりやすく、健康被害を受けるといったリスクがあります。ミノキシジルの偽造品も流通している可能性があるため、いくら服用しても発毛効果が実感されない可能性もあります。
ミノキシジルの個人輸入では用法・用量を正しく設定することが容易ではありません。少なすぎて効果がわからない、多すぎて副作用が強いといったトラブルが起こるリスクがあります。ミノキシジルを使用するときにはAGAクリニックで医師による処方を受けるのが安全な方法です。
ミノキシジルに関するよくある質問
ミノキシジルはドラッグストアで購入できますか?
ミノキシジル外用薬は5%以下の製品についてはドラッグストアで販売されています。5%を超える濃度のミノキシジル外用薬とミノキシジルの内服薬を購入するには、クリニックで処方してもらうことが必要です。
ミノキシジルの効果はどのくらいの期間で実感できますか?
ミノキシジルの効果が実感されるまでにかかる期間の目安は4ヶ月〜6ヶ月程度です。個人差が大きいので6ヶ月以上経過してから実感を得られる場合もあります。継続的に使用して改善を目指すことが重要です。
ミノキシジル外用薬はどのくらいの量を使えば良いですか?
ミノキシジル外用薬は1回につき1mlです。1日2回、朝晩などのように間隔を空けて使用します。過剰に使用すれば効果が上がるわけではないため、用法用量を守って継続的に使用することが大切です。
ミノキシジルとフィナステリドは同時に使用できますか?
ミノキシジルとフィナステリドはAGA治療に併用できます。ミノキシジルとフィナステリドは作用メカニズムが異なるので、症状によっては効果を高めるために2つの薬を同時に使用して治療を進めます。
ミノキシジルの内服薬と外用薬で副作用は違いますか?
内服薬と外用薬では発生しやすい副作用が違います。内服薬は全身に有効成分が作用するため、多毛症や動悸などの全身症状が起こりやすくなります。外用薬では局所に作用させるので、頭皮での炎症や発疹の副作用が発生しやすいのが一般的です。
ミノキシジルの副作用が出たときにはどうしたら良いですか?
ミノキシジルを使用開始して副作用を感じたときにはクリニックの医師に相談しましょう。気になる症状があったときには副作用の可能性があるので、医師に症状を伝えることが大切です。体に合わない場合には他の治療法を検討することもできます。
ミノキシジルはAGA以外の脱毛症にも使えますか?
ミノキシジルはAGAにおける発毛、育毛、脱毛の進行予防を効果効能とする医薬品です。ただ、ミノキシジルには発毛効果が認められているため、円形脱毛症などの他の脱毛症についても効果が期待されます。
ミノキシジルは初期脱毛が起こりますか?
ミノキシジルによって初期脱毛が発生する場合があります。初期脱毛は薬の使用開始後に古い毛が抜け落ちる現象です。一斉に髪が抜ける方も、初期脱毛がない方もいますので、個人差が大きい現象です。
ミノキシジルは途中でやめられますか?
ミノキシジルによる治療は中断できますが、使用を中止すると効果が減弱されます。ミノキシジルの休薬によって脱毛が再開する可能性があるので、使用を始めたら継続的に治療するのが一般的です。
ミノキシジルはいつから始めるのが良いですか?
AGA治療ではミノキシジルの治療を若いうちから始めた方が良いと考えられています。20代~30代になると男性ホルモンが増えてAGAによる脱毛のリスクが高くなります。この時期から治療を始めると効果が上がりやすいでしょう。
ミノキシジルなどAGA治療薬に迷ったら…
AGAの悩みをミノキシジルで解決したいと考えている方は、AGAスマクリにご相談ください。AGAスマクリではオンライン診療を通してミノキシジルやフィナステリドを処方しています。ミノキシジルについては内服薬と外用薬の両方を取り扱っています。
当院では初診料・再診料無料のオンライン診察を通して、患者様に合う処方を提案しています。当院の「男性プラン」ではミノキシジル内服薬とフィナステリド内服薬のセットで月々4,980円です。ミノキシジル内服薬の副作用が不安の方には外用薬を処方するなど、患者様のご希望も踏まえた処方を検討しています。ミノキシジルなどの薬による治療に興味がある方はAGAスマクリにご連絡ください。
まとめ
ミノキシジルは発毛効果を持つ薬で、AGA治療でよく用いられています。AGAが進行する原因に働きかけるフィナステリドとは違い、毛髪が成長させる作用を持っているのが特徴です。ミノキシジルは血管拡張に伴う症状や多毛症などの副作用のリスクがあります。しかし、症状に合わせて用法・用量を設定すれば安全に治療を進められます。ミノキシジルによるAGA治療を始める際には、治療経験が豊富な当院にぜひご相談ください。