白髪染めをしたら頭皮も顔もパンパン、目も開かない!
自分がまさか白髪染めでアレルギーになるなんて…とショックな方も少なくないと思われます。
この白髪染めでのアレルギー、最近はテレビでも特集を組まれ、知られるようになってきました。
今回は、白髪染めアレルギーの主な原因となる成分と症状、なってしまった場合の早急な対処方法をまとめてみました。
監修医師
成田亜希子 医師
成田亜希子医師は日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。一般内科医として幅広い疾患の診療に向き合った後、医療系行政機関にて勤務をし、病院や診療所への行政審査、行政指導、介護行政、母子保健、精神福祉等を担当。
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知っていましたか?白髪染めでのアレルギー
白髪染めやヘアカラーできれいに髪の毛を染めると、なんだか気分も上がりますよね。
髪の毛を染めるのは楽しいものです。
しかし、美容室で白髪染めやヘアカラーをしたあと、頭皮がかゆくなったり、目がはれたり、湿疹ができてしまうなんてことがあるって、知っていましたか?
もしあなたにこういった症状があらわれたら、『酸化染料剤』によるアレルギーの可能性があります。
実は、ヘアカラーや白髪染めに含まれる酸化染料剤は、アレルギー症状を起こすことがあります。
症状が激しい反面、知名度は低く、あまり一般には知られていません。
最近では、ようやくテレビでも特集され、新聞でも取り上げられるようになりました。
行政機関の一つである消費者庁でも、「毛染めによるアレルギーに御注意!」と題して、ヘアカラーが起こすアレルギーについて注意喚起を行なっています。
多くはない人数ではありますが、消費者庁には、毎年度200件ほど酸化染料剤によるアレルギーが報告されています。
安心して白髪染めやヘアカラーを行うために、今回の記事では、白髪染めなどの酸化染毛剤で起こるアレルギーについて、原因となる成分と症状+対処方法を調べました。
白髪染めの成分=アレルギー物質?
白髪染めで、なぜアレルギーが起きてしまうのでしょうか。
白髪染めやヘアカラーの多くは、『酸化染料剤』と呼ばれる染毛剤です。
この『酸化染料剤』の中には、アレルギーの原因となる化学物質が含まれています。
酸化染毛剤に含まれる代表的なアレルギー物質は、「パラフェニレンジアミン」、「メタアミノフェノール」、「パラアミノフェノール」、「トルエン-2、5-ジアミン」など。
そして、これらの中でも特にアレルギーを起こしやすい物質が、
『パラフェニレンジアミン』
という物質で、白髪染めやヘアカラーアレルギーの主な原因となっています。
アレルギーの原因、パラフェニレンジアミンとは
そもそも、パラフェニレンジアミンとはどのような物質なのでしょうか?
『パラフェニレンジアミン』
耳慣れないこの物質の正体は、アレルギーの原因ともなる物質で、毒性も強く、致死量がたった10gの劇薬です。
アレルギーを起こしやすいことでも知られており、アレルギーを起こしやすい25 種類の物質の一つに指定されているため、アレルギーパッチテストのリストにも入っています。
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会に所属する医療機関において、アレルギー性接触皮膚 炎患者のアレルゲンを調査した結果、1%パラフェニレンジアミン(PPD)の陽性率は 7.2%であり、ヘアカラーリング剤の原料成分の中では陽性率が高いといえる(平成 25 年度、 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会調べ。)。
パッチテスト陽性率が最も高い製品は、酸化染毛剤(第1剤)成分パッチテストでは、染毛剤成分であるパラフェニレンジアミンの陽性率が最も高く、7割を超える
上記の調査結果では、パラフェニレンジアミンが、白髪染めやヘアカラーなどの酸化染毛剤に含まれる化学物質の中で、もっともアレルギーを起こしやすい物質であると言われています。
そんなにアレルギーになりやすいのなら、パラフェニレンジアミンを使うのをやめて、何か代わりになるもので髪の毛を染めれば良いじゃないか、という声も聞こえてきそうですよね。
白髪染めアレルギーの症状
パラフェニレンジアミンが起こすアレルギーの症状はさまざまで、目が開かなくなるほど顔がはれた、顔から炎症のために滲出液(しんしゅつえき)が出てしまったなど、人によって違います。
日本ヘアカラー工業会の公式サイトでは、白髪染めやヘアカラーでアレルギーが起こった場合、下記のようになると記載されています。
ヘアカラーによる「かぶれ」は、頭・髪の生え際・顔・首筋などに、かゆみ・はれ・赤み・ブツブツなどの症状がでることをいい、かゆみしか感じないこともあります。
更には、突然に重いアレルギー症状(全身じんま疹・呼吸困難・血圧低下など)が起こることがあり、大変に危険です。
白髪染めやヘアカラーで、アレルギーが起こってしまった場合、顔周辺に、
- はれ
- かゆみ
- 皮膚のただれ
- 赤み
- ブツブツ
- 全身じんま疹
- 呼吸困難
- 血圧低下
これらはすぐにあらわれる場合もあれば、髪の毛を染めてから数時間経ってからようやくあらわれる場合もあり、すぐに症状が出なかったからといって安心するには注意が必要です。
消費者庁が公表した文書では、下記のように書かれています。
治療に30日以上を要する症例が見られるなど、人によっては、アレルギー 性接触皮膚炎が日常生活に支障を来すほど重篤化することがある。 アレルギーの場合、一旦症状が治まっても、再度使用すれば発症し、次第に症状が重くなり、全身症状を呈することもある。
また、
- アトピー性皮膚炎になったことがある人
- 頭皮や顔に傷、湿疹がある人
- 大人より皮膚が薄い子供
子どものヘアカラーはおすすめしないのはもちろん、頭に怪我や傷がある方にも、治るまではヘアカラーや白髪染めはおすすめしません。
アトピー性皮膚炎の方についても、リスクがあるということは念頭に置いて施術するのが良いと思います。
白髪染めでアナフィラキシーが起こることも
蜂にさされてアナフィラキシーショックになった、なんて話を聞いたことがあるかもしれません。 アナフィラキシーとは、重篤なアレルギー反応です。
その中でも、頻脈(ひんみゃく:脈が早くなること)、虚脱状態(きょだつじょうたい:ぐったりすること)、意識障害、血圧低下を起こした状態を
「アナフィラキシーショック」
と呼びます。
実は、アナフィラキシーショックは白髪染めでも起こり得ます。
まさか白髪染めでアナフィラキシーになるの?と驚かれるかもしれませんが、日本ヘアカラー工業会及び、消費者庁管轄の消費者安全調査委員会は、ヘアカラーによるアナフィララキシーが起こることを、下記のように注意喚起しています。
まれに「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応(全身じんま疹、呼吸困難など)等が突然起こることがあり危険です。このようなかぶれの症状を経験された方は、絶対に使用しないでください。 〜中略〜 かぶれと気づかずに染毛を続けたり、かぶれを疑いながらも症状が軽いからとそのまま染毛を続けたりすると、症状がひどくなることがあります。更には、突然に重いアレルギー症状(全身じんま疹・呼吸困難・血圧低下など)が起こることがあり、大変に危険です。
アナフィラキシーが疑われる異常を感じた場合は、全身に反応が広がら ないように直ちに薬剤を洗い流し、速やかに医療機関を受診すべきである。 また、一度アナフィラキシーを起こした場合は、生涯にわたって酸化染毛 剤を使用すべきではない。
アナフィラキシーショックを起こした場合、適切な治療を行わないと、命に関わります。
白髪染めでかぶれた場合、アナフィラキシーなどのリスクもあることを理解しておく必要があります。
激しい症状は48時間後がピーク
実は、白髪染めでアレルギーを起こした場合、すぐに体に反応が出るとは限りません。
消費者庁が管轄する消費者安全調査委員会は、ヘアカラーによるアレルギーについて下記のように書いています。
ヘアカラーによるアレルギー性接触皮膚炎は、遅延型アレルギーに分類され、典型的には、染毛後半日くらいからかゆみを感じはじめ、その後に赤み、はれ、ブツブツなどの皮膚炎症状が起こり、染毛の24時間から48時間後に最も症状がひどくなります。
このように、症状のピークは24時間〜48時間と言われています。
アレルギー症状があらわれた場合、最初が軽い症状でも油断してはいけません。
症状がすぐに酷くなるわけではないことも、知っておいてください。
対処法はすぐ病院へ
白髪染めで、かぶれやブツブツなど、アレルギーと思われる症状が出たら、軽くても重くても、すぐに病院へ行くことです。
アレルギーの場合、症状が軽くても、時間が経って重症化することもあります。
息苦しいなどの呼吸器に異常が出た場合は、呼吸困難などのリスクも生じます。
症状が軽くても、必ず病院へ行きましょう。
交差反応が出る場合も
一度白髪染めでアレルギーが出てしまった場合、『交差反応』と呼ばれるものが起きることがあります。
『交差反応』ってなんだろう?と思う方も多いと思いますので、ここでは日本ヘアカラー工業会の解説をご紹介します。
ヘアカラーを使用してアレルギー症状が出る方が、ヘアカラーとは全く異なる製品にアレルギー反応を示してしまうことがあります。これは、ヘアカラーの主な原因成分である酸化染料と、異なる製品のかぶれの原因成分との化学構造が似ているために、互いにアレルギー反応を示してしまうことによるもので、これを交差反応と呼びます。 ヘアカラーの酸化染料(パラフェニレンジアミンなど)と交差反応を示してしまう成分には、歯科治療に用いる局所麻酔剤(ベンゾカインなど)や、衣類や皮革用の染料などが知られています。
要するに、アレルギーを起こした物質と、似た化学構造の薬品でもアレルギーが起きるようになってしまうということです。
もしヘアカラーや白髪染めでアレルギーが出てしまった場合、こういった交差反応にも注意してくださいね。
繰り返しで重症化、一度でもアレルギーが出たら染色を控えましょう
白髪染めやヘアカラーといった酸化染毛剤でのアレルギーは、たとえ軽度であっても、繰り返すことで重症化しやすいと言われています。
症状の軽い重いにかかわらず、アレルギーと思われる症状が一度でも出てしまったら、以後、酸化染毛剤と呼ばれる種類の白髪染め、ヘアカラーは使用してはいけません。
使用を続けることで、先に述べたような、アナフィラキシーといった重篤な症状が出てしまう可能性があります。
これについては、消費者庁、日本ヘアカラー工業会や、各メーカーで、消費者に向けて、下記のような告知がされています。
かぶれの繰り返しで症状が非常に重くならないように、これまでに一度でもかぶれた方は、以後絶対にヘアカラーを使用しないでください。
*今までにヘアカラーでかぶれたことのある方(かゆみ・はれ・赤み・ブツブツなどの症状が出たことのある方)は、絶対にヘアカラーを使用しないでください。
残念ながら、現状で酸化染毛剤によるアレルギーに対する治療法はありません。
症状が出てしまったら、ヘアマニキュアやオハグロ式等と呼ばれる、酸化染毛剤を使わない白髪染めに変更していきましょう。
【重要】知ってください、染毛前のガイドライン
あまり知られていませんが、アレルギーやアナフィラキシーを防ぐため、白髪染めを使う際には、ガイドラインが定められています。
このガイドラインは、パッチテストの必要性、使用すべきでない人などを定め、業務用のヘアカラーやホームカラーの説明書や注意書き、外箱などに記載されています。
これらは日本ヘアカラー工業会が厚生労働省と協力して定めており、主に
- 白髪染め前のパッチテスト実施
- 白髪染め、ヘアカラーを使用すべきでない人
白髪染め前のパッチテスト実施について
白髪染め前にパッチテストをすることを、初めて知ったという人もいるのではないでしょうか。
実は、アレルギーを防ぐために、髪の毛を染める前には、必ずパッチテストをすることが定められています。
パッチテストの実施は、染める48時間前からです。
パッチテストで異常が出た場合は、白髪染めやヘアカラーの使用を中止し、以後、酸化染毛剤と呼ばれる方法での白髪染めやヘアカラーはできません。
白髪染めやヘアカラーをすべきではない人
パッチテストの他に、ガイドラインでは、白髪染め、ヘアカラーを避けるべき人について規定されています。
アレルギーが出た人以外にも、
- 頭皮や顔、首にはれものや傷や皮膚病がある人
- 生理中、妊娠中の人
- 体調不良の悪い人
- 腎臓や血液に疾患のある人
他にも、アトピー性皮膚炎でリスクが上昇することは前に述べた通りですので、アトピーになっている方も、白髪染めを避けた方が良いかもしれませんね。
アレルギーリスクも理解しつつ白髪染めを!
今回の記事、いかがでしたでしょうか?
日本人の8割以上が髪の毛を染めていると言われて久しい近年、年間200件ほどしかアレルギーの報告がないことを考えると、アレルギーのリスクを過度に心配しすぎることはないとも思います。
しかし、自分の安全のためにも、アレルギーのリスクを理解し、ガイドラインを守った上で、白髪染め、ヘアカラーを使うよう心がけてください。
ヘアカラー後に、頭皮トラブルを起こしてしまった時は、自己判断せずに病院で診療してもらってくださいね。
抜け毛や薄毛が気になる人は・・・
年齢を重ねるごとに増える白髪、初めて見つけた日には結構ショックを受けますよね。
また、同様に抜け毛や薄毛が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もしあなたが白髪の他に薄毛や抜け毛が少しでも気になるのであれば、AGA専門のクリニックへの受診をおすすめします。
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