亜鉛が髪へもたらす効果とは?薄毛、AGA、抜け毛との関係や摂取方法について解説

 

亜鉛 髪

薄毛に対処するには、生活習慣の中でも食習慣に注意することが重要です。なぜなら、良質なタンパク質が不足すると、髪の成長が妨げられるからです。また、タンパク質の合成には亜鉛も重要な役割を果たします。ただし過剰摂取は避けるべきです。この記事では、亜鉛の基本情報、髪に及ぼす効果、亜鉛不足がもたらす影響、亜鉛の適切な摂取量と摂取方法、摂取時の注意事項について詳しく説明します。

亜鉛の基本情報

亜鉛とは、私たちの体を元気に保つために欠かせないミネラルの1つです。このミネラルは、私たちの体を構成する基本的な要素である酸素、炭素、窒素、水素を除いたものを指します。成人の体には約2gあるといわれる亜鉛は、タンパク質を作り、皮膚や髪の毛を元気にするのに役立ちます。さらに、味覚や免疫力を向上させる働きもあります。

亜鉛を含む必須ミネラルは、体内で作られないため、食事から摂取することが必要です。亜鉛は普段の食事で不足することは少ないですが、最近では偏った食事や過度のダイエットで不足することが増えています。亜鉛が不足すると、体の機能が乱れるだけでなく、髪にも悪影響を及ぼす可能性があります。

亜鉛が髪に与える効果について

亜鉛が髪に与える効果について

効果1:髪の成長を助ける

髪の90%以上はタンパク質からできています。このタンパク質は、アミノ酸から構成されており、髪を形成するケラチンは18種類のアミノ酸から作られます。その中でも、シスチンはメチオニンという必須アミノ酸から生成されますが、このメチオニンは食事から摂取しなければなりません。ただし、アミノ酸は単独ではケラチンの生成を行うことができません。亜鉛の助けが必要なのです。つまり、亜鉛が不足すると、体内に十分な必須アミノ酸があっても、ケラチンを作ることができなくなります。

効果2:育毛サイクルを整える

育毛サイクルは、成長期、退行期、休止期の3つの段階で構成されます。成長期は2〜6年間続き、毛母細胞が分裂し、新しい髪が生まれます。その後の2〜3週間の退行期は、髪の成長が停止し、約3〜4ヶ月の休止期は次の成長期のための準備をする期間です。髪は1本ずつ異なる育毛サイクルを持ち、通常は約90%が成長期にあるため、一定量の髪を維持できます。しかし、育毛サイクルが乱れると、髪が十分に成長できずに抜け落ちることがあります。これが薄毛の始まりです。この問題を解決するには、育毛サイクルを正常に戻す必要があり、そのために亜鉛が役立ちます。

効果3:AGAの進行を遅らせる

AGA(男性型脱毛症)とは、テストステロンという男性ホルモンが体内で変化してジヒドロテストステロン(DHT)になることが原因だと言われています。このジヒドロテストステロン(DHT)が男性ホルモン受容体に結合すると、発毛が妨げられ、通常の髪の成長期が短くなるのです。しかし、亜鉛はこのDHTを作る「5αリダクターゼ」という酵素を抑える働きがあるため、AGAの進行を抑えることが期待されています。

亜鉛不足がもたらす髪や体への影響

亜鉛不足がもたらす髪や体への影響

亜鉛は、髪の生成と成長に不可欠です。亜鉛が不足すると、髪の成長が妨げられるだけでなく、体全体にさまざまな影響をもたらす可能性があります。髪や爪、皮膚の健康を保つだけでなく、免疫機能を維持するためにも亜鉛は必要です。また、味覚を感じる味蕾(みらい)細胞を生成するためにも亜鉛が欠かせず、亜鉛不足により味覚障害が起こるのは代表的な症状です。さらに、亜鉛不足は男性の生殖機能にも影響し、ED(勃起不全)を引き起こすリスクがあります。このように、亜鉛が不足すると、さまざまな弊害を引き起こします。

亜鉛の摂取量と最適な摂取方法

日本人の食事摂取基準(2020年)によれば、亜鉛の一日の推奨摂取量は以下の通りです。

亜鉛の食事摂取基準(mg/日)

年齢 男性(推奨摂取量) 女性(推奨摂取量)
12~14(歳) 10 8
15~17(歳) 12 8
18~29(歳) 11 8
30~49(歳) 11 8
50~64(歳) 11 8
65~74(歳) 11 8
75 以上(歳) 10 8

出典:日本人の食事摂取基準(2020年)|厚生労働省(367ページ)

亜鉛を摂取する主な方法は食事です。ただし、亜鉛を含む食品をたくさん摂るのではなく、適切な量を摂取し、効率よく体内に取り込むことが大切です。そのためには、亜鉛の吸収を妨げる食品をできるだけ避けるようにしましょう。例えば、アルコールの飲み過ぎは、尿と一緒に亜鉛が排泄され、亜鉛不足になりやすいと言われています。

日常の食事だけでは亜鉛を十分に摂取できない場合は、サプリメントの利用も考えられます。

亜鉛摂取時の注意点

亜鉛摂取時の注意点

注意点1:摂り過ぎに注意

「薄毛や抜け毛を改善したい」という思いから亜鉛を過剰に摂取すると、逆効果になることがあります。亜鉛を摂りすぎると、髪に必要な栄養素が毛根に十分に供給されず、結果として抜け毛の原因となる可能性があるからです。また、過剰摂取は貧血や下痢などの体調不良を引き起こすこともあります。
亜鉛はタンパク質の生成を助ける役割を持つに過ぎないため、亜鉛だけを多く摂取しても育毛効果は期待できません。バランスの取れた食事を心がけ、適量の亜鉛を摂ることが大切です。

注意点2:効果が出にくい場合がある

亜鉛を含む食品を取り入れ続けているのに、薄毛が改善されないと感じることがあります。これは、薄毛の原因が亜鉛不足だけではないからです。睡眠不足や過度のストレス、さらに遺伝などのさまざまな要因が関係しています。そのため、薄毛対策には総合的なアプローチが必要です。
例えば、睡眠時に成長ホルモンが分泌されるのは、入眠してから約3〜4時間の間ですので、質の良い睡眠を確保することが大切です。亜鉛の摂取に加え、生活習慣全体を見直すことで、より効果的に薄毛対策を進めることができます。

注意点3:サプリメントの亜鉛の含有量に注意

亜鉛を手軽に摂取できる方法として人気があるのがサプリメントです。食事で不足しがちな亜鉛を1日1錠程度の服用で簡単に補えるため、食事が不規則な人や小食の人にとって便利です。しかし、サプリメントで簡単に亜鉛を摂取できるからこそ、注意しなければなりません。特に亜鉛の含有量に気をつけましょう。成人が一日に摂取できる量には上限があるため、それを超えないようにしましょう。少ないもので10mg、多いもので20mg近くが含まれるサプリメントもあります。
また、亜鉛以外のミネラルも含まれていることが多く、それらが育毛にどのような影響を及ぼすかを事前にチェックすることが重要です。成分表をよく確認し、適切な量を守って使用するようにしましょう。

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まとめ

亜鉛は髪を形成するために必要なケラチンの生成に不可欠なミネラルです。日常の食事で亜鉛を摂取することが理想ですが、難しい場合はサプリメントを検討しましょう。ただし、サプリメントを選ぶ際には成分や亜鉛の含有量に注意が必要です。

また、薄毛を本気で改善したい場合、亜鉛だけでは難しいかもしれません。特にAGAが原因の場合、薄毛が進行してしまう可能性があります。本格的な薄毛治療をご希望なら、専門のクリニックに一度相談されることをおすすめします。

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