円形脱毛症と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
回答者
これは間違いではありませんが全てでもありません。
ストレスは増悪因子ではありますが、実は円形脱毛症の原因という訳ではないのです。
脱毛症状は非常にショックを受ける症状なので早期の改善が望まれます。
脱毛症状の改善をインターネットなどで検索すると真っ先にヒットするのがフィナステリド。
フィナステリドは、AGAの進行を食い止める働きを持っていますが、その他の脱毛症に万能に効くわけではありません。
相談者
円形脱毛症の原因は、遺伝的背景をもとにした自己免疫機能の問題だと有力視されています。
病変部の周辺にリンパ球が浸潤していて毛包がダメージを受ける事で脱毛症状が引き起こされると考えられています。
フィナステリドの作用は、自己免疫機能には及ばないため、直接的に円形脱毛症へ効果を示す事はできません。
円形脱毛症は難治性・再発性皮膚疾患で、これといった有効な治療法が確立されていませんが、しっかり対症療法を続ければ、ほとんどの場合、症状は改善していきます。
- フィナステリドでは円形脱毛症を治療する事はできません
- 円形脱毛症は自己免疫の問題で生じる疾患です
- 対症療法で改善可能
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監修医師
成田亜希子 医師
成田亜希子医師は日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。一般内科医として幅広い疾患の診療に向き合った後、医療系行政機関にて勤務をし、病院や診療所への行政審査、行政指導、介護行政、母子保健、精神福祉等を担当。
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フィナステリドは円形脱毛症に効果なし
フィナステリドは、髪の成長周期を乱す男性ホルモンを抑制する事で、正常な髪の成長期間を取り戻し治療効果を得る薬です。
AGAと異なり円形脱毛症は、自己免疫機能の問題によって生じると考えられているため、髪の成長周期を改善しても直接的な効果は得られません。
円形脱毛症に対してできる治療は基本的に対症療法になります。
フィナステリドはAGAの進行を抑える薬
フィナステリドは、5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害する作用機序を持ちます。
5αリダクターゼⅡ型は、男性ホルモンであるテストステロンと結びつく事でジヒドロテストステロンを生成します。
ジヒドロテストステロンには、ヘアサイクル（毛髪の成長周期）における成長期を極端に短縮させる作用があり、その結果、AGAを発症させ薄毛や抜け毛が進行します。
フィナステリドを服用する事でジヒドロテストステロンの生成が阻害され、AGAの発症抑制・進行防止が期待できます。
AGAが進行した上で円形脱毛症が生じると、抜け毛の量や頻度は多くなるかもしれません、適応の可否は医師の判断に委ねなければなりませんが、AGAの進行を抑制する事で円形性脱毛症による抜け毛を一定食い止められる可能性はあります。
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AGAと円形脱毛症の違いは？
円形脱毛症とは、500円玉程度の面積の髪が短期間に急激に抜け落ちる脱毛症で、AGAは頭頂部や生え際が徐々に薄毛になっていく病気です。
脱毛症状は、AGAも円形脱毛症も同じですが、自己免疫の問題と男性ホルモンの問題で発症機序は全く異なります。
また、AGAは男性に発症する疾患ですが、円形脱毛症は男女共に発症する疾患になります。
円形脱毛症の発生頻度は人口の1～2％と推測されていますが、中にはクリニック受診をしない人も多いと考えられ、実際どれくらいの人が悩んでいるかは不明です。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の原因は、髪の毛の元となる毛包がリンパ球によって攻撃を受ける事で生じる自己免疫疾患と考えられています。
現在もどのようなメカニズムでリンパ球が毛包を攻撃するようになるか解明されていません。
リンパ球は本来であれば体を守ってくれる存在ですが、リンパ球が自分自身を攻撃対象と勘違いし毛包を攻撃する事で発症します。
円形脱毛症患者の約40%がアトピー素因を持っていると報告されています。
アトピー素因とは、気管支炎やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患の事を指します。
自分自身がアトピー素因を持っていなくとも、家族がアトピー素因を持っている場合は注意が必要です。
円形脱毛症の種類
一般的に円形脱毛症には4つの型があり、それぞれ重症度合などが異なります。
①通常型
円形もしくは楕円形の脱毛が1ヶ所に起こるのが通常型です。
放置しておいても3ヶ月〜半年程度で生えてきます。
概ね発症後1年以内に治癒している事が多く、4つの型の中ではもっとも軽度な症状とされています。
しかし多発型円形脱毛症に移行するケースがあるため、注意が必要です。
②全頭型
頭部全体の髪の毛が抜け落ちる型で、通常型から移行するケースが多くみられます。
症状が重いことから自力での改善治療が難しくなっています、処置が難しい事が多い為、クリニックでの早期治療が推奨されます。
③汎発型
汎発型は、円形脱毛症の中で最も症状が重いと言われています。
髪だけではなく、まゆ毛やまつげ、ヒゲ、わき毛など、全身の体毛が抜け落ちてしまいます。
④蛇行型
蛇行型は、側頭部から後頭部にかけて生え際が帯状に脱毛する症状です。
1つの脱毛斑から複数の脱毛斑となって進行して行くケースがよく見られます。
円形脱毛症の症状
症状の現れ方は人によって大きく異なりますが、以下のようないくつか特徴的な症状があります。
【初期症状】
何の兆候もなく突然脱毛が始まった
頭部に地肌が見えるところがある
爪に小さなでこぼこがある
【進行中の症状】
朝起きた時、枕に抜けた毛が見られる
脱毛斑周囲の毛を引っ張ると痛みもなく簡単に抜ける
抜けた髪の毛の毛根の部分が、細く尖った状態である
これらの症状に複数適合する場合は、円形脱毛症の疑いがあります。
【回復期の症状】
脱毛斑の一部に細く短い毛が生えている
脱毛斑に毛穴が見えている
脱毛斑周囲の毛を引っ張っても簡単に抜けない
また、円形脱毛症は一度治った後でも再発を繰り返す事もあるため、医師に相談しておく事が推奨されます。
参考）日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf
円形脱毛症の発症年齢
円形脱毛症は子どもから高齢の方まで男女を問わず生じます。
全体的に男性よりも女性に多い傾向にあります。
円形脱毛症は、AGAと比べて前触れもなく突然髪が抜け落ちるのが特徴なので、発症部位によっては、社会生活に大きな支障をきたす事が想像されます。
また、患者の1/4は15歳未満なので、若いうちから発症する可能性があります。
若いうちの発症は、重症化するケースが他の年齢層より多く見られます。
フィナステリドが円形脱毛症に効かないならどんな治療法が効く？
円形脱毛症には、一般的に毛包の炎症を抑えるステロイドなどの塗り薬や飲み薬が使用されます。
これらの治療を続けてもよくならない場合は、直接ステロイドを注射する治療が行われることもあります。
飲み薬は効果が高い反面、副作用リスクが高いため、長期間の使用ができません。
また、小児の場合は成長に障害が出る可能性も考えられる為、処方が難しくなっています。
①局所免疫療法
局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬品を脱毛部に塗って、弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法です。
患部表面に対し人工的にかぶれを起こして毛包を攻撃しているリンパ球を患部表面に集中させる事で、毛包への攻撃を抑える効果が期待できます。
②ステロイドの局所注射
ステロイドの懸濁液と局所麻酔を混合して注射器で局注します。
局注した部位がへこむという副作用が起こる事があります。
③ステロイド外用療法
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬を使用します。
軽い症状の場合、単独で用いられ、難治例では他の治療法を併用する必要があります。
④かつらの使用
円形脱毛症をカバーするウィッグには医療用ウィッグや部分ウィッグがあります。
医療用ウィッグは、頭皮に優しい素材でできているため治療と併用して使用できるのも特徴です。
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円形脱毛症かと思ったらすべきこと
円形脱毛症になると隠す事に気を取られて、治療が不十分となり、完治に時間が掛かったり、時には悪化してしまう場合もあります。
ストレスが悪化因子になる可能性が示唆されているので、ストレスを溜めにくい生活を送る必要があります。
日本皮膚科学会が定めた円形脱毛症の診療ガイドラインが作られているので、自己流の治療法を試す前に一度医師に相談する事が推奨されます。
ストレスを減らした生活
全ての人に言える訳ではありませんが、極力普段と変わらない生活を送る事がストレスを溜め込みにくいと考えられています。
頭皮環境を改善するシャンプーの使用や頭皮マッサージを受けるのも髪のストレス軽減に繋がります。
「十分な睡眠と休息」「規則正しい生活」「バランスの良い食事」を心がけて下さい。
▼薄毛に効果がある食べ物はこちら▼
専門医に相談
円形脱毛症の治療は、皮膚科または形成外科で行われるのが一般的です。
AGAクリニックにも皮膚科や形成外科の専門医が在籍している事が多いため、適切な診察を受けられます。
円形脱毛症は、決して治らない病気ではないので、専門医の診察を受け、正しい治療を受ける事が大事です。
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「オンラインだとしっかり診てもらえないのでは？」と疑問を持つ人も多いと思います。
AGAスマクリは、他のクリニックよりも先駆けてオンライン診療を行って来た実績があり、結果も出しています。
様々な症状の改善例を紹介する事もできるので、自分の髪がどのように改善していくかイメージを付ける事が可能です。
皮膚科や内科の専門医が在籍しているので、AGAか円形脱毛症かの鑑別も適切に診断する事ができます。
オンライン診療「AGAスマクリ」のご紹介
AGAスマクリには、常時80名の医師が在籍しており、いつでも患者様のサポートができる体制が整っています。
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【まとめ】フィナステリドは円形脱毛症に十分な効果なし！
円形脱毛症は、自己免疫機能の問題によって生じる疾患なので、男性ホルモンを抑制する事で薄毛や抜け毛を改善するフィナステリドは、十分に効果を示す事はできません。
軽度の症状である場合は、円形脱毛症とAGAの識別が難しいケースがあるのですが、髪のトラブルは、恥ずかしさなどからクリニック受診を避ける事が目立ちます。
周囲の方に髪の話をするのは相当な勇気がいる事ですし、悩みをご自身や家族で抱え込んでいる方も多くいらっしゃると思います。
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